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第5回|夫婦二人で見る八ヶ岳の星空。

黒猫高原時間 005

若い頃の二人旅は、忙しかったような気がします。

せっかく旅行へ来たのだから、どこかへ行く。

有名な場所を見る。

美味しいものを食べる。

写真を撮る。

次の場所へ移動する。

夜になれば、また何か予定を入れる。

それはそれで楽しかった。

でも50代、60代になって、夫婦二人で旅をするなら。

もう少し何もしない夜があってもいいと思います。

夕食を終える。

宿の外へ出る。

少し寒い。

二人で空を見上げる。

星が出ている。

特別な会話なんてなくてもいい。

二人で同じ空を見ている。

それだけで、一日の最後が少し違うものになります。


目次

星座を知らなくても、星空は楽しめる

星空というと、少し難しく考えてしまうことがあります。

どの星が何という名前なのか。

どこに星座があるのか。

何時に何が見えるのか。

もちろん、それを知る楽しさもあります。

でも夫婦二人で見る星空なら、最初から詳しくなくてもいい。

「あれ、明るいね」

「あっちのほうが星が多い」

「寒くなってきたね」

そのくらいで十分です。

星を見ることを、勉強にしなくてもいい。

星空は、二人で同じ方向を見る理由になってくれます。

それだけでも、旅の夜には価値があります。


長く一緒にいると、会話が少ない時間も増える

長く一緒に暮らしている夫婦なら、ずっと話しているわけではありません。

車の中でも。

食事中でも。

宿でも。

話すことがないから仲が悪い、ということでもない。

むしろ、何も話さず一緒にいられることがあります。

星を見る夜も、それでいい。

二人で外へ出る。

空を見る。

しばらく黙っている。

どちらかが、

「きれいだね」

と言う。

また黙る。

長く一緒にいる二人には、言葉がなくても成立する時間があります。

若い頃のデートとは違う。

それが50代、60代の二人旅の良さなのかもしれません。


夫婦旅行を、観光地の数で作らなくてもいい

旅行の計画を立てると、つい予定を入れたくなります。

午前はここ。

昼はここ。

午後はここ。

夕食はここ。

翌日はここ。

せっかく八ヶ岳まで来たのだから、たくさん見たい。

でも、予定を増やすほど二人でゆっくりする時間は減っていきます。

50代、60代なら、もう全部見なくてもいい。

一ヶ所減らす。

少し早く宿へ入る。

夕暮れを見る。

食事をする。

夜になったら外へ出る。

星を見る。

それだけでいい。

観光地を一つ減らすと、二人の時間が一つ増える。

そんな旅の作り方もあります。


星空を見るなら、少し早く宿へ入りたい

星を見る夜に、夕方まで観光地を回り続ける必要はありません。

むしろ少し早めに宿へ入る。

荷物を置く。

お茶を飲む。

少し休む。

夕暮れを見る。

食事をする。

暗くなるのを待つ。

ここから星空の時間は始まっています。

星が出た瞬間だけが星空旅行ではありません。

星を待つ時間も、二人旅の一部です。

日が落ちていく。

空の色が変わる。

少しずつ暗くなる。

最初の星が見える。

その変化を急がず見る。

八ヶ岳に泊まる意味は、こういうところにもあります。


50代、60代なら、夜の運転を減らしてもいい

有名な星空スポットまで車で行く。

星を見てから、暗い道を運転して宿へ戻る。

もちろん、それも一つの楽しみ方です。

でも50代、60代の二人旅なら、夜の運転を減らすことを優先してもいいと思います。

宿の近くで空を見る。

無理に遠くまで行かない。

寒くなったらすぐ戻れる。

疲れたら終わりにする。

これなら星を見ることが、大きなイベントではなくなります。

「頑張って星を見に行く」のではなく、「泊まっている場所で夜を楽しむ」。

大人の星空旅には、こちらのほうが似合うことがあります。


寒くなったら、温泉へ戻る

八ヶ岳の夜は冷えます。

特に季節によっては、防寒を甘く見ないほうがいい。

だから長時間外にいる必要はありません。

10分でもいい。

20分でもいい。

二人で星を見る。

身体が冷えてきたら宿へ戻る。

そして温泉へ入る。

これがいい。

冷たい高原の空気の中で星を見たあと、温かい湯へ入る。

部屋へ戻ったら、一杯飲む。

お酒を飲まないなら、温かい飲み物でもいい。

星空のあとに何があるかまで考えると、夜はもっと楽しくなります。

星だけを目的にしない。

星空、温泉、部屋、飲み物。

全部で一つの夜です。


少しくらい贅沢してもいい

若い頃の旅行なら、できるだけ安い宿を探したこともあったと思います。

でも50代、60代の二人旅なら、毎回でなくてもいいから、少し宿にお金を使う旅があってもいい。

部屋から空が見える。

静かな場所にある。

温泉がある。

夕食を急がなくていい。

朝もゆっくりできる。

そういう宿を選ぶ。

高級である必要はありません。

大切なのは、

二人で過ごしたい時間に、お金を使うこと。

宿泊費は、ベッド一つの値段ではありません。

夕暮れから夜、そして翌朝まで。

その場所にいられる時間を買っているとも考えられます。


記念日だから行く、でなくてもいい

結婚記念日。

誕生日。

還暦。

特別な日だから旅行する。

それも素敵です。

でも、何でもない日に二人で八ヶ岳へ行くのもいい。

「最近どこにも行っていないから」

そのくらいでいい。

星空を見るために、特別な理由はいりません。

むしろ、

何でもない夜だったからこそ、あとで覚えている。

そんなことがあります。

「あのとき八ヶ岳で星を見たね」

何年か後に、ふと思い出す。

旅の価値は、その瞬間の豪華さだけでは決まりません。

あとで二人の記憶に残っているか。

それも大切です。


星が見えなかったらどうする?

ここは、星空旅行では避けられません。

曇ることがあります。

雨も降ります。

霧も出ます。

せっかく八ヶ岳まで来たのに、一つも星が見えない。

そんな夜もあります。

でも二人旅なら、それでもいいと思える旅にしておきたい。

雨なら、雨音を聞く。

霧なら、外の景色が消えていくのを見る。

温泉に入る。

部屋でゆっくり飲む。

早く寝る。

翌朝、森を歩く。

星が見えなかったから、旅行そのものが失敗になる。

それでは少しもったいない。

星を見る旅ではなく、八ヶ岳の夜を過ごす旅にしておく。

そうすれば天気が変わっても、旅は残ります。


二人で雨を見る夜も悪くない

雨の夜。

窓の外は真っ暗。

雨音だけが聞こえる。

テレビを消す。

スマートフォンも少し置いておく。

二人で飲み物を飲む。

特別なことは何もない。

でも普段の家とは違います。

仕事もない。

家事もない。

明日の予定も詰め込まない。

ただ二人で雨の音を聞いている。

これはこれで、かなり贅沢な時間です。

晴れたら星。雨なら雨。

自然を相手にする旅なら、それくらいの余白があったほうがいい。


翌朝、もう一度二人で外へ出る

星を見た翌朝。

できれば少しだけ早く起きてみる。

昨夜は真っ暗だった場所が見える。

鳥が鳴いている。

森の匂いがする。

季節によっては霧が出ている。

二人で少し歩く。

そして朝食へ戻る。

夜には空を見上げた。

朝には森を見る。

同じ場所なのに、時間が変わるだけで旅がもう一つ増えます。

星空の翌朝までが、八ヶ岳です。

だから星を見るなら、一泊したい。

夜だけで帰ってしまうのは、少しもったいないと思います。


二人で見る星は、写真に残さなくてもいい

きれいな星空を見ると、写真を撮りたくなります。

でもスマートフォンでは、見たままに撮れないこともあります。

それなら、無理に撮らなくてもいい。

二人で見た。

それだけでいい夜があります。

写真には残っていない。

SNSにも投稿していない。

でも二人は覚えている。

誰にも見せない旅の記憶。

50代、60代になったら、そんなものが一つくらい増えてもいいと思います。


夫婦二人で見る八ヶ岳の星空。

若い頃のように、予定をいっぱい入れなくてもいい。

星座を全部知らなくてもいい。

遠くの有名スポットまで行かなくてもいい。

二人で夕食を食べる。

外へ出る。

空を見る。

少し話す。

少し黙る。

寒くなったら戻る。

温泉へ入る。

一杯飲む。

眠る。

そして翌朝、また二人で外へ出る。

それだけの一泊です。

でも何年か後、

「あの八ヶ岳の夜、よかったね」

と思い出すかもしれません。

何を見るかより、誰と、どんな時間を過ごしたか。

50代、60代の夫婦旅行なら、そこに少しお金を使ってもいい。

観光地を一つ減らして、

二人の時間を一つ増やす。

今度の八ヶ岳では、そんな夜を作ってみませんか。

何もない時間を、八ヶ岳へ。

星空案内室
Stargazing Guide

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